[INTERVIEW]
韓国アニメーション最新事情
──『臥仏』『ビルボードサイン』、それぞれの作品で表現されたかったことは何ですか?
イ・ヨンベ
『臥仏』を先に制作したんですが、私の出身地の“ナンド(南道)”にある伝説をベースにしています。民主的な国を望む民衆の想いが、寝ている仏像を立たせることによって成就するという伝説です。でも、その“想い”を遂げるためには1,000体の仏像を立たせなきゃならないと言われていて、『臥仏』は、その最後の1体を立たせることが出来なかったという物語です。
ラストシーンでは、寝たままの仏像の上で純粋な子どもが遊んでいる姿を描き、民主的な国を望む民衆の想いが、今でも生きていることを表現しました。
『ビルボードサイン』は簡単な話で、“ソウル”のような典型的な都市の消費文化、拝金文化をテーマにした作品です。変質する都市に警鐘を鳴らし、批判的な精神を表しました。
──日本のアニメを数多くご覧になったそうですが、影響を受けた作品はありますか?
イ・ヨンベ 小学生の時はテレビで『黄金バット』『タイガーマスク』『キャンディ・キャンディ』、それから、手塚治虫の『鉄腕アトム』『リボンの騎士』を観て育ちました。
アニメをやろうと決心するきっかけとなったのが“ガンダム”シリーズでした。とても感動しながら観たのは、“ナウシカ”“トトロ”などの宮崎駿作品ですね。彼の作品を真似てみようと一生懸命に試みた時期もあり、状況描写、話の構成をずいぶん学ばせてもらいました。
まず、宮崎作品は視線が温かい。自然を観る眼差しが生き生きしていますし、希望を与えてくれるラストが大きな感動を与えるのだと思います。とりわけ『となりのトトロ』は、庶民の日常の中にとても深く入り込んで、そこからストーリーを引き出す力が強いなと感じました。宮崎駿監督をはじめ、「スタジオジブリ」に大きな力を感じますね。高畑勲監督との協力関係にも非常に感銘を受けました。
──日本のアニメについてよくご存知ですね。
イ・ヨンベ 韓国のアニメーターの80%以上が、日本のアニメーションについて私以上に知っていると思います。日本のアニメには、それだけ強い力を感じています。
──韓国のアニメーションは、テーマがハッキリしたメッセージ性の強い作品が多いと思いますが、エンターテイメントとしての発展については、どう思われますか?
イ・ヨンベ 今は、監督自身の世界観や目指すものを、短編であれ、長編であれ、中に入れ込もうとするので、非常にテーマ性やメッセージ性の強い作品が出ているんだと思います。それに、はじめて作る機会だからと、欲も出てくる。
こういった作品とビジネスの関係については、観客の共感が得られれば、興行につながることもあり得ると思いますが、韓国は今はまだ難しい状況です。
おそらく、韓国アニメーションに、もう少し年輪を加えることができれば、テーマ、イメージにも多様な方向がでてくるのではないでしょうか。
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