[INTERVIEW]
韓国アニメーション最新事情
──韓国での日本アニメの浸透度はいかがでしょうか?
キム・ジュニアン ファン層は、概ね10代から30代まででしょうね。80年代初めから日本アニメをカラーで見始めて、80年代中盤からでしょうか。VTRが一般家庭で普及し始め、日本アニメのコピーが韓国に流れてきました。そうした海賊版を観て80年代中盤からアニメファンが形成されたと言われています。ちなみに、韓国でフツーによく知られている日本のアニメは、“ガンダム”です。
ただ、60年代、70年代初期から『鉄腕アトム』が放映されて、それに影響された世代もおられますが、あの時はまだ日本が制作したアニメだという認識が全然なかった。それを知った上でファンになった世代は、私の年に近い30代中盤でしょうか。
──今、韓国ではどのような形でアニメを放映しているんですか?
キム・ジュニアン 「Tooniverse」というケーブルチャンネルで24時間やっています。10代とか低年齢向けのアニメは、子ども向けに主人公の名前や背景の外国の文字を韓国版に変えています。子どもたちにとっては作品の国籍は関係ないし、韓国で日本アニメはすでに受け入れられてるので。いわゆるナショナライゼーションですね。でも、それが“外国の作品”という認識を難しくしているようです。
──1930年代の日本のアニメもご覧になられましたか?
キム・ジュニアン もちろん! 1920年代からの日本アニメ創世記の作品まで遡って私は見てますし、私の新書『イメージの帝国:日本アニメーション』(仮題)で日本のアニメーションを主題にし、日本の1917年からのアニメの歴史を全部収めています。ちなみに、この本のタイトルは、ロラン・バルトという学者の『表徴の帝国』という著書のオマージュです(笑)。
──日本と韓国のアニメの違いというのは国民性にも関係があると思いますが、これから韓国アニメの発展の仕方は、日本とは違ってくるのでしょうか。
キム・ジュニアン それは、“国民”と“民族”の違いからはじめなきゃならない問題ですね。“国民”と“民族”は自然なものではなく歴史の中で人為的に作られたものですから。例えば、チェジュド(済州島)という島は昔は独立王国でして、朝鮮半島のもっと向こう、高句麗が満州まで領土を持っていました。つまり“民族”は流動的で(地域によって固有の発展を遂げるので)、ハッキリとした区切りができないものですよね。それを前提条件として言わせてもらうと、これからの韓国アニメーションはとても自由な発展をしていくと思います。
テクノロジーについては、これまでは、人から人によって情報が伝えられたり、教えられたりアナログ的なものでしたが、今日上映された作品を観てもわかるように、韓国アニメの歴史とは関係ない新しい作品ばかりです。ますますこういった自由度の高いデジタル的な方向に進むでしょう。もう1つ、人間的なところに踏み込みますと、そういう意味でも韓国は今、自分が言いたいことを言える社会です。大人たちが道端で自分の感情を大声で叫んだり、自分を主張したり、悲しければテレビカメラの前でも泣いちゃいます。
やはり、韓国のアニメーションは政治や、経済の面などいろいろなところで今まで抑圧されてきた個人の気持ちが発散できる、発散しやすい芸術として発展していくのではないかと思います。
日本のアニメメーションは、商業アニメもアートアニメも素晴らしい成果を成してきましたが、これからどうなるかはわかりません。私が個人的に期待している商業アニメ作家は、今敏監督と押井守監督の2人。アート系アニメにおいても『頭山』の山村浩二監督や、新作が無くて残念ですが『クジラの跳躍』の
たむらしげる監督も頑張っています。
彼らには哲学がありますので、日本の過去の歴史や、日本の国民の現状など、今まで日本の実写映画が描いてこなかったことを、リアリティ溢れる作品で表現してくれるのではないかと期待しています。
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